研究・論文

公衆衛生や環境配慮行動を中心に、20件ほどの研究を進めています。

※共同研究実績:青森県静岡県エーテンラボオズマピーアールとの共同研究)、岡山県京丹後市(京都府)新潟大学ライオン歯科衛生研究所、アドバンテッジリスクマネジメント、カゴメさんぎょういゼンショーホールディングスカゴメとの共同研究)、DeSCヘルスケア日本ベーリンガーインゲルハイム(日本イーライリリーとの共同研究)、ノバルティスファーマほか

共同研究の御相談はこちらから

 

※主な論文(インパクトファクター付き英文誌のみ)を紹介します。その他の論文はreserchmapを参照してください。

 

Takebayashi M, Mizota Y, Namba M et al. Evaluation of Nudge-Based Notification for Follow-Up Examinations in Health Check-Ups Targeting Occupational Health Staff and Undiagnosed Workers: A Randomized Controlled Trial. Cureus, (2024), 16(9): e70032. doi:10.7759/cureus.70032

【概要】健診で「所見あり」と診断された人のうち、二次検査を受けた人は半数以下です。二次検査プロモーションにおける第1顧客である産業保健関係者と最終顧客である未受診の労働者を対象に、従来型チラシを配布した群(対照群)と、ナッジを用いて改善したチラシを配布した群(ナッジ群)の活用・申込意欲等をオンラインによるRCTで検証しました。産業保健スタッフ(n = 425)は、1~5段階評価で対照群2.22点 vs. ナッジ群3.62点(P <0.001)を含むすべての項目で有意に高い評価を得ましたた。 労働者(n = 871)では、「フォローアップ検診を受ける意欲」(3.01 vs. 3.09、P = 0.272)以外は全てナッジ群の方が有意に高い結果になりました(P < 0.05)。労働者の受診意欲を高めるには、リマインドを含めた一体的な設計が必要なようです。

 

Takebayashi M, Namba M, Koyama T et al. Impact on step count by commitment-based health application. PLoSONE, (2024). https://doi.org/10.1371/journal.pone.0305765

 【概要】先行研究では「身体活動の継続にはナッジだけでは困難で、ヘルスリテラシー(HL)向上が必要」と示されています。静岡県内の7社の従業員109人をアプリ群(コミットメント型アプリ「みんチャレ」を活用し、5人程度のチームで目標歩数を宣言し、毎日の歩数を写真付きで報告)、自己コミットメント群(目標歩数を宣言し、個人で努力)、対照群(介入なし)に割り付け、1か月後の変化を調べました。歩数はアプリ群893歩増、自己コミットメント努力群243歩増、対照群178歩増で、対照群に比べアプリ群は有意に増加しました。HL指標はアプリ群は対照群と比較して5項目中4項目(調整後は3項目)で有意な進展がみられました。この結果から、アプリチーム内でのコミュニケーションが即時的な歩数増加だけでなく継続に繋がる可能性が示唆されました。

 

Takebayashi M,  Kaneda Y, Ouchi M et al. Enhancing Interest in Smoking Cessation Programs With Nudge-Incorporated Flyers: A Randomized Controlled Trial Among Occupational Health Staff and Workers in Japan. Cureus, (2024), 16(7): e64756. doi:10.7759/cureus.64756 

【概要】禁煙プログラムの第1顧客である産業保健関係者と最終顧客である禁煙希望喫煙者を対象に、従来型チラシを配布した群(対照群)と、ナッジを用いて改善したチラシを配布した群(ナッジ群)の活用・申込意欲等をRCTで検証しました。対照群のチラシは特に産業保健関係者に受け入れられず、ナッジ群ではチラシ活用意欲が有意に向上しました。ナッジ群の喫煙者は多くの項目でチラシに対して好意的な評価をしましたが、申込意欲は有意な向上が認められませんでした。これらのナッジだけで喫煙者のプログラム申込意欲を向上させるのには限界があり、インセンティブなど他の介入と組み合わせることの必要性が示唆されました。


Takebayashi M, Namba M, Kaneda Y et al. How can we promote vaccination of the mass population?—Lessons from the COVID-19 vaccination defaults. PLoSONE, (2024). https://doi.org/10.1371/journal.pone.0298983

 【概要】ワクチン接種促進にはオプトアウト(デフォルトを「接種」とし、接種意思のない人は申し出る形式)が効果的なことが外国の研究から明らかになっています。しかし、①COVID-19ワクチン接種の忌避やデフォルト変更への抵抗傾向がある日本でも同様にオプトアウトは有効なのか?②キャンセル率が高くならないか?③デフォルト変更に関する不満は起きないか?④効果は1回で消失するのではないか?といった懸念が生じるためか、なかなか導入する自治体が出てきません。 

そこでA県でオプトアウトを導入した市とオプトインの市を比較したところ、上記①~④は全て「問題ないだろう」との示唆が得られました。 

※95%CI:1回目接種率オプトアウト88.2%~89.2% vs オプトイン74.1%~80.1%、2回目接種率オプトアウト84.9%~86.0% vs オプトイン55.7%~67.5%

 

Takebayashi M, Kaneda Y, Namba M et al. Assessing Hand Sanitizer Usage in Japanese Elderly Day Care Centers: An Observational and Interventional Study. Cureus, 15(10) (2023). e46834. doi:10.7759/cureus.46834

【概要】COVID-19流行期に実施した、高齢者デイサービスセンター玄関に設置した消毒液の利用促進の対照実験です。同一地域内の3つのデイサービスセンターを対照群(標準的な利用促進の貼り紙)、リマインダー群 (床に黄色のマスキングテープで矢印を描き、消毒液の存在を強調)、施設安全群(消毒液利用ではデイサービスセンターを集団感染から守ることを訴える貼り紙)に分け、介入前後の消毒液使用量の変化を測定しました。結果は対照群1.13倍、リマインダー群1.31倍、施設安全群1.16 倍の増加となりましたが、群間の有意差は見られませんでした。

 

Takebayashi M, Yoshiike N, Koyama T et al. Validation of the most cost-effective nudge to promote workers’ regular self-weighing: a cluster randomized controlled trial. Sci Rep 12, 15501 (2022). https://doi.org/10.1038/s41598-022-18916-z

【概要】体重測定(自己モニタリング)が体重維持の一助になることは知られていますが、「どのような介入を行うと体重測定を継続するのか?」は明らかにされていませんでした。体重測定推進教室に申し込んだ青森県職員(定期的な体重測定習慣なしの者)をランダムに「クイズ 群 (Attractiveナッジ)」「Implementation intentions群 (Socialナッジ)」「Growth-mindset群 (Timelyナッジ)」に分け、さらに職員から無作為に参照群 (無介入) も形成し、クラスターランダム化比較試験(ITT)で検証しました。6 か月後、3群ともに定期的体重測定頻度が有意に向上し、中でもGrowth-mindset群 (60.0%) が最大の効果が見られました。Growth-mindset群の費用対効果は、クイズ群、Implementation intentions群に比べて、各1.7倍、1.3倍高いものでした。

 

Hamaya R, Fukuda H, Takebayashi M et al. Effects of an mHealth App (Kencom) With Integrated Functions for Healthy Lifestyles on Physical Activity Levels and Cardiovascular Risk Biomarkers: Observational Study of 12,602 UsersJ Med Internet Res 2021;23(4):e21622. doi: 10.2196/21622. PMID: 33900203. PMCID: 8111509

【概要】健康アプリkencomの効果を、歩数、健康診断データ、保険請求データをkencomシステムに統合して評価しました(歩数解析は12,602人、CVDリスク解析は5,473人対象)。歩数は利用登録後に平均510歩/日増加し(P<.001)、特にアプリ内で年2回開催されるウォーキングイベントへの参加は、歩数の顕著な増加と関連していました。CVDリスク分析では、1日の歩数変化率が最も高い五分位群の利用者は、最も低い四分位群の利用者に比べて、体重が有意に減少しました(-0.92kg、P<. 001)。kencom利用は身体活動の向上と有意に関連し、体重減少や脂質プロファイルの改善につながる可能性があることが示唆されました。

学会

日本ヘルスプロモーション学会(理事)、日本健康教育学会(代議員)、行動経済学会、日本健康支援学会などに入っています。

シンポジウムや講演への登壇依頼はこちらからお願いします。

 

学会登壇実績・予定(口述発表・ポスター発表は筆頭のみ掲載)

【2024年度】

⑨第3回地域医療学会学術大会講演(2024/12/1 富山市)

⑧第24回日本訪問歯科医学会特別講演(2024/11/10 千代田区)

⑦ 岩手県看護研究学会企画セミナー(2024/10/26 盛岡市)

⑥日本ヘルスリテラシー学会学術学会(第4回)シンポジウム(2024/9/29 慶応義塾大学日吉キャンパス) 

第32回日本健康教育学会学術大会(2024/7/7 長野県立大学)

④プライマリケア連合学会北海道地方会(2024/6/29 札幌市) 

日本プライマリケア連合学会インタラクティブセッション(2024/6/9 浜松市) 

第73回日本医学検査学会学会セッション(2024/5/11 金沢市)

横浜内科学会糖尿病研究会特別講演(2024/4/9 オンライン)

 

【2023年度】

⑬⑭日本栄養改善学会第10回関東・甲信越支部会学術総会で教育講演(午前)・ワークショップ(午後)の講師(2023/12/9 長野県立大学)

⑪⑫日本ヘルスプロモーション学会第20回学術大会シンポジウム登壇・口演発表(2023/12/3 東洋大学)

⑩日本産業衛生学会北海道地方会で講演(2023/9/30 札幌市) 

⑨日本プライマリケア連合学会秋季生涯教育セミナーセッションでオンライン登壇(2023/9/23)

第70回北日本産科婦人科学会総会・学術講演会招請講演1で講演(2023/9/23 弘前大学)

医療経済学会第18回研究大会でシンポジウム登壇(2023/9/2 千葉大学)

日本産業保健学会産業保健看護部会で講演(2023/8/26  高知市)

⑤第31回日本健康教育学会学術大会Meet the Expertセッション(2023/7/23 全国町村会館)

日本相続学会東海ブロックオープンセミナー講演(2023/5/16 名古屋経済大学)

②③第14回プライマリ・ケア連合学会学術大会シンポジウム及びインタラクティブセッション(2023/5/14 名古屋市)

①第96回日本産業衛生学会自由集会(健康教育・ヘルスプロモーション研究会)(2023/5/12 宇都宮市)

 

【2022年度】

日本健康教育学会栄養教育研究会公開学習会講師(2023/3/25 オンライン)

第24回日本健康支援学会年次学術大会ランチョンセミナー演者(2023/3/5 福岡工業大学)

第23回宮城県理学療法学術大会教育講演(2023/2/5 東北生活文化大学) 

第34回岩手県公衆衛生学会学術集会特別講演(2023/2/4 岩手県紫波町)

行動経済学会第16回大会で指定討論(2022/12/18 明治大学)

⑨⑩第19回日本ヘルスプロモーション学会、第11回日本産業看護学会合同集会でシンポジウム登壇及び口述発表(2022/11/26 産業医科大学)

日本相続学会第10回研究大会のシンポジウム「遺言と向き合う」に登壇(2022/10/22 千代田区)

第12回日本プライマリケア連合学会東北支部学術集会で講演2022/10/1 オンライン開催)

⑥第32回日本産業衛生学会全国協議会で教育講演(2022/9/30 札幌コンベンションセンター)

第19回日本プライマリケア連合学会秋季生涯学習セミナーで教育セッションに登壇(2022/9/25 オンライン)

③④第30回日本健康教育学会学術大会でラウンドテーブル及び口演発表(2022/7/23-24 獨協医科大学)

第13回日本プライマリ・ケア学会 インタラクティブセッションで発表(2022/6/11 横浜市)

第95回日本産業衛生学会 自由集会(健康教育・ヘルスプロモーション研究会)講演(2022/5/26 高知市)

 

【2021年度】

日本健康教育学会栄養教育研究会 令和3年度公開学習会で講演(2022/3/26 オンライン)

第23回日本健康支援学会学術大会で口演発表(2022/3/5 オンライン)  

産業医科大学第39回産業医科大学学会・第47回産推研九州地方会で特別講演(2021/10/5 産業医科大学)

第29回日本健康教育学会学術大会でシンポジウム及びラウンドテーブル3本発表(2021/9/11-12 オンライン)

※共同研究したポスター発表が学会賞受賞

第62回日本人間ドック学会学術大会で教育講演(2021/9/10 オンライン)

第80回日本産業衛生学会東北会で講演(2021/7/24 オンライン)

 

【2020年度】

④ 日本健康教育学会栄養教育研究会 令和2年度公開学習会で講演(2021/3/27 オンライン)

第22回日本健康支援学会学術大会・第8回日本介護予防・健康づくり学会大会でシンポジウム発表(2021/3/6 筑波大学→オンライン)

第79回日本公衆衛生学会総会でシンポジウム発表(2020/10/21 京都大学→オンライン)

 第75回日本体力医学会大会でシンポジウム発表(鹿児島大学→誌上開催)

 

【2019年度】

行動経済学会第13回大会(名古屋商科大学)でポスター発表(2019/11/9)

②③日本健康教育学会学術大会(東京大学)でラウンドテーブル発表(2019/6/28)と口述発表(2019/6/29)

①日本栄養改善学会東北支部会(盛岡大学)でパネリスト発表(2019/5/15)

 

【2018年度】

④青森県保健医療福祉研究発表会で口述発表(2018/12/9)

行動経済学会第12回大会(慶応義塾大学)口述発表(2018/12/8)

①②第90回日本産業衛生学会(熊本市)で自由集会と口述発表

 

【2017年度】

第19回日本健康支援学会年次学術大会(京都橘大学)で口述発表(2018/3/10)

③日本ヒューマンヘルスケア学会・青森県保健医療福祉研究発表会(青森県立保健大学)で口述発表(2017/12/16)

日本ヘルスプロモーション学会(順天堂大学)で口述発表(2017/11/25)

①第26回日本健康教育学会学術大会(早稲田大学)で口述発表(2017/6/25)

 

【2016年度】

②日本ヒューマンヘルスケア学会・青森県保健医療福祉研究発表会(青森県立保健大学)で口述発表(2016/12/17)

第63回日本栄養改善学会学術集会(青森市)で口述発表(2016/9/8)

 

※2015年度以前は整理中

口演発表では、スライドにも口調にもナッジを利かせます。

(2018年行動経済学会)

ポスター発表でもナッジを用いています。

(2019年行動経済学会)

Protocol and Results: study1

ダウンロード
Protocol Results.pdf
PDFファイル 227.8 KB