ナッジって何ですか?
ナッジは、選択を禁止することも経済的インセンティブを大きく変えることもせずに、望ましい行動へと「予測可能な形」で変える設計です(※)。
※なお、私は公衆衛生現場への活用を重視し、ナッジを広く解釈しており、仕掛けや小額の金銭等もナッジに含めるというスタンスをとっています。
もう少しわかりやすい言葉でお願いします。
心をくすぐって、よい行動へと動かす工夫、と言えばわかりやすいかもしれませんね。危険な場所につい近づいてしまう子象に、母親が鼻先でそっと正しい道へと促すイメージです。
人を動かすアプローチは大別して①情報提供②(狭義の)ナッジ③インセンティブ④強制の4段階があります(介入のはしご)。「選択を禁止することもインセンティブを大きく変えることもなく」というのは③④ではないことを意味しています。
研究の結果、人の認知の歪み(=バイアス)が系統的であることが明らかになってきました。このため、「この状況でこの刺激があると人はこう反応する」と、「予想可能」になりました。ナッジはバイアスに寄り添ったアプローチです。
今までのアプローチとどう違うの?
今まで人を動かすために規則やインセンティブ、普及啓発などが使われましたが、健康支援の現場ではこれら「だけ」による行動変容は限界がありました。
ナッジであり、強制でもなく放任でもない、ほどよいスタンスで相手を健康行動へと促すという位置づけです。
ナッジは従来の手法に欠けていた手法であり、今までのやり方を全否定するものではありません。また、ナッジにも限界があり、普及啓発やインセンティブなどと組み合わせることが好ましいと考えます。
ナッジは提唱者のR.Thaler博士が2017年にノーベル経済学賞を受賞したこともあり、国内外で広く使われています。
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★ナッジは管理栄養士国家試験の出題範囲になっています。
↓2022年管理栄養士国家試験の出題内容
※ナッジをわかりやすく漫画にしました。(この漫画を使いたい方は、遠慮なくこちらへ連絡をお願いします)